大河ドラマ『青天を衝け』徳川慶喜役:草彅剛さんインタビュー

大河ドラマ『青天を衝け』
徳川慶喜役:草彅剛さんインタビュー

2021.4.24
青天を衝け

江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜。側近・平岡円四郎(堤真一)の目利きで渋沢栄一(吉沢亮)と出会い、江戸幕府の瓦解後、時代が明治に移り変わってからも二人は終生に及ぶ信頼関係を結びます。栄一より3歳年上の慶喜を演じるのは、2004年の『新選組!』以来二度目の大河ドラマ出演となる草彅剛さんです。捉えどころのない能面のような表情から、目の動きだけで怒りや悲しみをにじませる芝居が話題の草彅さん。はたしてどのような思いで慶喜像と向き合っているのでしょうか。その意外な答えとは…。

「自分と離れている役どころが演じていてとても楽しい」

――最初に徳川慶喜役のオファーを受けた時の気持ちを教えてください。

有名な将軍はたくさんいますが、慶喜は江戸幕府最後の将軍になる人物なので、特別な思いを持ちました。物事の始まりは希望に満ちてドキドキわくわくするけれど、“最後”というのはどのような気持ちなのか、どのように終わらせるのか、とても興味が湧きました。慶喜が第15代将軍になることも、最後の将軍になることも広く知られていますが、ドラマを見ている方が「もしかしたら慶喜は将軍にならないんじゃないか」と思うくらい掴みどころのない人物にしようと、演出の黒崎さんと話をしました。僕も力の抜けた人物を狙って演じているのですが、そのなかで慶喜が抱える葛藤が見え隠れしたらいいなと思っています。

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――その狙い通り、感情の読み取れない表情が話題です。

本当になにも考えずに演じています(笑)。ただ、慶喜の父の斉昭(竹中直人)がストレートに感情をぶつける人物だったので、僕はその対極にいたほうがいいのではないかという気持ちはありました。物語前半で斉昭がものすごく熱意を込めて慶喜を将軍に推しているのに、慶喜は他人事のように見ているんです。そのどこかフワフワとした邪念のない佇まいが、のちに「大きな器を持っている人間」として見てもらえたらいいなと思っていました。竹中さんとは初めての共演でしたが、「草彅くんが本当の息子に思えてきたよ」と言ってくださり、すごくうれしかったです。

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――渋沢栄一役の吉沢亮さん、平岡円四郎役の堤真一さんの印象はいかがですか?

吉沢さんはとてもピュアなオーラが漂っている方ですね。線の細いイメージがあったのですが、体幹がすごくしっかりしていて、あふれ出るエネルギーがまさしく栄一にぴったりだと思います。吉沢さんと渋沢喜作役の高良健吾さんのフレッシュさに僕も刺激を受けています。

堤さんには昔からかわいがっていただいて、何度か一緒に芝居をしたことはありますが、久しぶりの共演だったので最初はとても緊張しました。僕は堤さんの芝居がすごく好きで、少しでも堤さんのように演じられたらいいなという意識があるんです。堤さんはそんな僕の気持ちをわかっているようで、余計な話はしないのですが、背中で語ってくれている感じがします。今回、堤さんと培ってきた時間が反映され、円四郎と慶喜のとてもいい関係性が築けていると思います。堤さんからは、「慶喜はなにを考えているのかよくわからないところがいい」と言っていただいています。

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――今後、栄一との信頼関係を築いていくことになると思いますが、慶喜は栄一のどのようなところを認めたと思いますか?

慶喜は円四郎にすごく心を開いているので、その円四郎が連れてきた人物ということが大きいのではないでしょうか。あとは、周りの人たちが必要以上に慶喜に気をつかうなか、円四郎と栄一は、みんなが喜ぶ世の中にしたいという熱意があり、みんなの幸せを願っているので、相手が慶喜だからといって気をつかわずにストレートに意見を言ってくれる。そういうところが栄一を好きになっていくポイントだと思います。

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――今回、久しぶりの大河ドラマ出演ですが、大河ドラマの魅力を改めて教えてください。

若い方からご年配の方まで親しんで見てくださる国民的ドラマだと思います。出演者もスタッフの人数もすごく多くて、奥行きがあるセットの中にいると、「あれ?ここスタジオだよな」と、ふと我に返ってしまうことがあるくらいです。本物の馬をスタジオに入れることもあるので驚きますよ(笑)。そのスケールの大きさに自分が負けないよう、地に足をつけてしっかりとした心持ちでいようと思っています。また、慶喜は将軍なので着物もとても豪華です。その分すごく重いので、油断していると歩きながらフラフラしてしまうんです。ですから衣装をただ着せられているだけにならないようにしたいですし、政(まつりごと)で判断を迫られるシーンでもあたふたせず、ドンと構えて、いろいろな意味で薄っぺらい人物にならないようにがんばっています。

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――では最後にメッセージをお願いします。

僕と慶喜は似ているところ、リンクするところがないので、自分と離れている役どころが演じていてとても楽しいです。この先、慶喜の立場も変わり、いろいろな出来事があり、たくさんの別れがありますが、僕は歴史をあまり知らないので、「今もしかしたらこのシーンで時代が動いているのかな」と思うと心が弾みます。大森美香さんの脚本はスッと自然に役に入れるので、今後も気負わず、演じていきたいと思っています。

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